太田原奈都乃
息子をかたって現金を要求する「オレオレ詐欺」を見抜いて被害を未然に防いだとして、山口署は2日、山口湯田郵便局(山口市下市町)の大木均局長(51)と局員の小野大地さん(33)に感謝状を贈った。
普段からよく利用する、顔なじみの80代女性だった。11月9日午前11時ごろ、「300万円を現金で引き出したい」と窓口に来た。
県外に住む息子から電話があり「病気で入院中だが携帯も財布もなくした。お金を用意してほしい」と頼まれたという。息子の代理とみられる人が「午後1時には家にお金を受け取りに来る」と慌てた様子だった。
小野さんが「本当の話ですか」と聞いても、「詐欺のニュースは見て注意しとるし、息子の声だったから大丈夫」と繰り返した。
「ご本人に確認してもらえないですか」「なくした携帯には電話しないで、と言われた」。そんなやりとりが15分ほど続いた。
それでも「オレオレ詐欺の手口」と確信していた小野さんは大木局長に相談した。大木局長は数年前にこの手口の詐欺を防いだ経験があり、急いで署に通報した。「『誤報』だったとしても自分がお客様に怒られるだけ」と覚悟の上だった。
約束の午後1時。女性は警察官と自宅で待ったが、誰も現れなかった。そこで初めて詐欺だと分かった女性は驚いた様子だったという。
「詐欺の可能性をいつも頭の片隅に置いておきたい」と話す小野さん。後日、郵便局を訪れた女性から感謝を伝えられた。(太田原奈都乃)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル